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潜入捜査!巫女さんバイトの裏側に迫る!

なつめ 潜入 職場

なつめです。みんなが一度はしてみたいと思う(?)巫女さんバイト!今回は現役の巫女さんへのインタビューを通して、知られざる巫女の世界の裏側に迫ります。

なみちゃん(仮名)   20代女性。
巫女さん歴10年の大ベテラン。
好きな干物は帆立の貝ひも。

現役巫女さんにインタビューしてみた。

そもそも神社の事って全然知らないんだけど、どんな人達が働いているの?

そうだね。神職の中には、神社の代表者にあたる宮司、その下に禰宜(ねぎ)、権禰宜(ごんねぎ)という職階が続くんだけど、私が巫女さんしてる神社では、親子孫三代でこの役職に就いているよ。

ごんねぎさん(笑)なんか強そう!!

一番下の位なのにね(笑)
神社によっては、普段はサラリーマンで土日だけ神社にお勤めする「兼業宮司」や、いくつかの神社を行き来する「かけ持ち宮司」もいるんだよ。

そうなんだ!じゃあ巫女さんも専属じゃない人が多いの?

うん。私も普段は全然別の仕事をしてるよ。大学生の子が多いけど、学校の先生やOL、バレエスクールの先生をしてる子なんかもいるね。

へえ!いろんな人がいて面白いね。
みんなどういうきっかけで巫女さんバイトを始めたのかな?

最初は友達の紹介で始める人が多いね。わたしもそうだったよ。小学生の時に神楽舞を習っていた友達に、高校生になって神社から声がかかって、その友達に誘われて「やってみようかな」という感じ。
あとは意外と多いのが派遣だね。

巫女さんって、派遣社員なのっ!!

うんうん、多いよ(笑)そのままこのバイトが気に入って毎年来るようになる子もいるね。

そうなんだね。
巫女さんのお仕事、具体的にはどんな事をするの?

結婚式や七五三、初宮参りなんかの時に声がかかって、仕事内容はその時々だけど、年末年始は主にお守りや縁起物を扱う売り子さんだね。
「販売」ではなくて、「お金を納めて頂く」という感覚だから、言葉遣いが少し特殊だけど、誰にでもできる仕事だよ。

(※この記事では便宜上「販売」それに類する表現も用いています。)

興味あるなあ。でも私いろいろやらかしそう……。

大丈夫大丈夫!長い人でもみんなちょこちょこはやらかしてる!
御朱印帳っていう、お参りした時に各神社で記入してもらうスタンプ帳みたいなのが今流行ってるんだけどね、そこに書く神社の名前を間違えて必死に誤魔化したり、祝詞を読んでた人の袴が落ちて、笑いを堪えながらご祈祷したりって事もあったよ(笑)

マンガじゃん。でも何だか楽しそうな職場!

うるさく言う人もいないし、働きやすい環境だと思うよ。お客様も神社という場所のせいなのか、お正月のおめでたい雰囲気のせいなのか、あまり苦情言ってくるような人もいないしね。
時々酔っ払いはいるけど。すごく大きい声でいろいろ質問されたくらいで、しつこく絡まれるような事はほとんどないね。

ナンパは?ナンパ!巫女さんナンパしてくる人いそう!

私はないなあ。あっ!でも盗撮はあるね(笑)

盗撮!?!?分かるけどっ!可愛い巫女さんいたら撮りたくなる気持ち分かるけどっ!

明らかに撮ってるでしょって感じで、脇の下とかからコッソリ写真とかビデオとか撮ってくる人は嫌だね。バレてますから(笑)
ちゃんと言ってくれたら良いのに。

えっ?直接言ったら、写真撮らせてくれるの?

うんうん。神社にもよるかもしれないけど、うちは基本断る事はしないよ。
何なら初宮参りの時に「抱っこしてください」って言われて、首の座らない赤ちゃん抱いて一緒に写真撮る事とかもあるけど、快くお受けしてます(笑)

だそうですよ皆さん!巫女さんは盗撮せずに、声をかけてから堂々と撮りましょう!

 

ここまで話聞いてきて、かなり面白そうなバイトだなって興味湧いてきたんだけど、採用条件って厳しいの?

ううん。履歴書も要らないし、特にこれと言った条件はないかな。
未婚じゃないといけない神社もあるけど、うちはそこまで厳しくないから時々既婚者も来るよ。少ないけど男性も来るし。
あっ!条件って訳ではないけど「可愛い子お願いします」とは言われる(笑)

えっ……。(絶句)

過酷な条件のなか、果敢に応募してみた。

「可愛い子」という条件にビクビクしながら応募したものの、履歴書や写真の提出は求められず、容姿に係わる審査はありませんでした!……なので、「可愛い子」という条件は恐らく、神職の方の個人的な希望だったと思われます(笑)
なみちゃんが神社の責任者の方に話をしてくれて、氏名と年齢を申告しただけで手続き終了。
年齢で落とされる事もなく、こうしてなつめは晴れて「なんちゃって巫女さん」となったのです!

 

その後、事前に神社から送られてきた資料はこのたった1枚のシフト表のみ。

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ザッ!シンプル。
これによると、なつめの場合、
大晦日   22:00~翌2:30
元旦          9:00~18:00
のトータル13.5時間労働。
時給1000円のもよう。
(※勿論、神社によって条件は異なります)

それにしても一つ目の注意事項、かなり気になります。

一応ストーブはあるけど、深夜に半分外みたいな場所で仕事するから、寒さ対策だけはしっかりと!男性用の長着は厚みもあるし、上に羽織を着るからまだいいけど、巫女さんの衣装は薄いし、上に羽織れないからこれでもかというくらい着込んで!!

アドバイスを元に私が用意した装備は、ヒートテック長袖、その上に白のVネックニット、下はレギンスの上に黒のストレッチパンツ、足には五本指ソックス!そして、背中にはなみちゃんからもらった貼るカイロ。
着物が白で透けやすいという理由で、下に着込むニットも白が良いそうです。靴下はその上から足袋重ね履きしようと思って五本指にしました。

「なんちゃって巫女さん」~大晦日編~

21:00
シフトは22時からでしたが、なみちゃんの予定に合わせて早目に神社へ。
軽く挨拶を済ませて、女性と男性に分かれ、控え室でさっそく巫女さんの衣装に着替えます。因みに女性は8畳二間続きの和室、男性は3畳くらいの物置のようなところで着替えてました(笑)

なみちゃんが着付けしてくれるとの事でしたが、思ったより着付けは簡単で浴衣が着られる人なら着られるレベル。わたしもチャレンジしてみました。
白のニットに黒のパンツという、着た時の服装の上から、襦袢は着ずにそのまま白の長着を着て、腰紐で結びます。そして、朱色の袴をくるぶしが隠れるくらいの長さに調節し、まずは前見頃に付いている紐を、後ろに回して結びます。その後、後ろ見頃に付いているヘラみたいなものを腰紐に差し込んで固定させて、後ろから回した紐をお腹の前でちょうちょ結びにして完成です。
背中でちょうちょ結びが難しくて、その部分だけ手伝ってもらいましたが(不器用)なんとか自分で着ることができました。

完成図はこんな感じ!
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馬子にも衣装?!なかなかそれらしく見えませんか。

因みに男性の衣装はこれ!
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上着が一枚多い分、少し温かいのかな?あとは、割と長着に厚みがあって透けにくいみたいで、下に黒のスウェットとか着ても平気なようです。羽織の紐の結び方が難しいみたいで、苦戦していました。

 わたしたちが着いた時点で、既に3人の女の子が着付けを済ませて部屋にいました。
はにかんだ笑顔が可愛い、女子高生Kさん。春から警察官になる事が決まっていて、このバイトは今年が最後というTさん。そして声が大きくて活発な印象のKさんは、大学生で普段は婚活パーティーの司会のバイトをしたり、競技カルタをしたりしているとの事。
みんな気さくに色々教えてくれて、とても良い雰囲気です。


その後、バイト開始時間まではまだ時間があるので、社殿の方にいき、なみちゃんが後輩に舞や鈴のお祓いを教えるのを見学させてもらう事に。
まずは胡床(こしょう)と呼ばれる折りたたみの椅子や、太鼓の準備。その後ご祈祷されるお客様のエキストラをしつつ、なみちゃんの舞を堪能。太鼓や笛に合わせて、鈴と扇子を持って舞うんだけど、とにかくリズムに合わせるのが難しそう……と思ったら、リズムに合わせたらいけないらしい(笑)
今まで知らなかった参拝のマナーなんかも覚えられて、とても勉強になりました。なんなら、神様に奉納する舞も覚えちゃって「来年は舞の方する?」って言われました。来年はわたしも三葉ちゃん(君の名は。ネタ)やってるかも?!

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22:00
バイト開始時間になり、そわそわし始めるわたし。タイムカードなんてものはないし、時間になってもみんな散らばってめいめいに過ごしていて、とても緩い感じです(笑)

やっと「そろそろ説明するから集まって」の声がかかり、着替えをした和室に集合する事に。
注意事項を説明してくれたのは、他の神社から応援に来てくれている神主さんのSさん。気のいいおっちゃんという感じでとても話しやすい!

Sさんの説明によると、基本的にお客様が来られた時は「おめでとうございます」帰られる時は「良いお年を」という挨拶をするとの事。
そしてお札は「コンビニ方式」で、1枚ずつ数えてるのを見せながら返すようにと言われました。(コンビニって言っても間違えて「らっしゃっせ~」「毎度あり~」って言っちゃだめ)

他の注意事項としては、

・巫女さんのお作法。神社の中央(神様の前)を通る時は、手をお腹の前で重ねて、軽く頭を下げて通ること。(社殿の中も普通に歩いて通って良い)
・一度応対を始めたらそのお客様だけを見ること。(ほかの人も同時進行すると分からなくなるため)
・携帯、スマホの使用は禁止。
・巫女さん同士の私語は禁止。
・酔っ払いや、ナンパは全部Sさんを呼べば対応してくれる。
・せっかくなので、みんな楽しんでやりましょう!
これだけでした。


その後、扱う御守りや縁起物の説明を受けたのですが、ベテランバイトのなみちゃん達に任されていてとても自由な雰囲気。
「今年初めての御守りが、このお守りとこのお守りで、こういう事に効きます」とか「御守りは大体600円。交通安全の御守りは1つを除いて800円です」なんて説明を簡単に受けました。えっ?こんなに簡単でいいの?って心配になるほど簡単に。
この神社に限らず、お正月の巫女さんはバイトの子がほとんどだと思うので、専門的な事を聞かれても分からない場合の方が多いと思われます。なので、本当に大切な質問は社務所(入口の方にある、受付みたいな所)で聞いた方が良いかもしれません。

心配症なわたしは「これは何に効く御守りなの?」「お金渡す時はなんて言ったらいいの?」などと質問しまくり。不安を隠しきれません。

 

その後、社殿の方に場所を移して売り場のセッティング。御守りを入れた木箱を並べたり、昔ながらの石油ストーブを置いたりしていきます。
残り少なくなった御守りや木札は自分たちで随時補充するので、どこに何があるかをバックヤード(と言ってもすぐ後ろ)に行って、しつこく確認してまわる、心配症なわたし。(二回目)
そしてこの時に、一緒に売り場に立つ組分けをする事に。
グッパーの結果(グッパーで通じる?)わたしは、なみちゃんの弟のKくんとペアになりました。Kくんはなみちゃんと同じく毎年お手伝いに来ているベテランさんだし、すごく話しやすくて優しい人なので一安心。唯一の不安要素と言えば、「楽人」と言って、お祓いやご祈祷の依頼が入ると、太鼓を叩きに社殿の方へ行ってしまうので、その時1人で対応出来るかどうか……。
この時点で既に参拝のお客様が並び始めていました。


23:50
そろそろ販売開始というところで、なみちゃんが「社殿へ行こう!」と誘うので、行ってみると権禰宜(ごんねぎ)さんや、他神社からお手伝いに来てる神職の方が数人集まっていました。

訳も分からずお神酒の入った器を渡される私。
「カウントダウンするよ!」
ラジオの音に合わせて、「5、4、3、2、1、おめでとうございまーす!」お神酒をグイッと飲み干す。
なっちゃん誕生日おめでとう!」
「えっ?誕生日なのに、手伝いに来てくれたの?ありがとう。おめでとう!」と権禰宜さん。
そうです、なつめは新年を迎えると同時に誕生日を迎えました(笑)お神酒で乾杯の、人生初の誕生日。とても嬉しかった!
その後「行くよ!!」と慌ただしく、売り場に戻ります。いよいよ、闘いが始まる!

「なんちゃって巫女さん」~元旦編~

0:00
初詣を終えたお客様が、次々と売り場の方に流れて来ます。
「おめでとうございます」
何も分からないけど、とにかく笑顔でを心がけてずっとニコニコしてました(笑)
Kくんやなみちゃんが応対した時にサポートしようとするのですが、息が合わずかえって動線をふさいだり、邪魔をしてしまう事がとても多い!
「ぬわわわわーごめんーー」と心の中で悶えるわたし。
それでも挫けず、なみちゃんがお金を受け取っている間に、御守りを紙袋に入れようとして、紙袋が開かず鼻息荒くなるわたし。

私の方が手がしっとりしてるから、そっちするね。

笑顔でなみちゃんにディスられ、お金のやり取りにまわるわたし……。


だんだんと恥ずかしがらずに接客を楽しめるようになってきた頃でした。
「カシャッ」と大きな音がして振り向くと、なみちゃんがスマホで写メを撮っているではないですか!!

盗撮~!スマホ使ったらSさんに怒られるんじゃないん?(笑)

いや、Sさんがせっかくだから撮ってあげてって(笑)

スマホ使用禁止って言った本人!!!!」


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なつめ、めっちゃ働いてます。
こんな感じで、ほかの禁止事項についてもとても緩かったです(笑)

 

だんだんと動きが分かってきて、お客様が買ったものの金額に応じてこっそりお釣りを用意し、予想があたったら小銭をドヤ顔でKくんに渡す事も出来始めた頃でした。
「お祓い入ったから行ってくるね」
ついに来た!ついに恐れていた瞬間がやって来てしまった!
一緒に接客していたKくんとなみちゃんが小走りで社殿の方へ向かい、いっきに心細くなる私。さっきのドヤ顔はどこへ……。

そしてそこへすかさず出現する敵、ではなくて、お客様!!
「おめでとうございます」笑顔を作りつつ、頬が引きつります。

「コレ、ナニキキマスカ」
外国人きたーーーーーーーー!
これは巫女さん初心者、いや接客初心者のわたしにはかなりハードル高いぞ。

「こちらは社運隆昌といって、事業、えーっと、会社が成功するという意味のお願い事が書いてある木札です。んーっと……カイシャ……シゴト……シャチョサン?」
「ア~NONONO~」
「ん~カナイアンゼン?……カゾク?」
「ソウデス!」

後半なぜかフィリピンパブのお姉ちゃんみたいになりながらも、なんとか接客を終える私。どっと疲れましたが、「アリガトゴザイマース」笑顔で帰って行かれたお客様に癒されました。


すると今度は、
「誰が一番可愛いかなwww」
「お前マジやめろや!www」
学生らしきうぇいうぇい男子の団体きたーーーーーーーー!

売り場は1段高い場所にあるので、巫女さん達の顔は下からちょうど見えにくくなっているのですが、屈んで巫女さん達を査定し始める大学生くん(仮)たち。
うわ、これ「あいつブサイクじゃね?」とか勝手なこと言われて地味に傷つくパターン……。
既に心折れそうになる状況……。しかし、社会の荒波に揉まれてきたわたしは知っていた。とにかく笑顔でいい人っぽくしていれば大抵の事は何とかなるということを!!

ガン見して来た大学生くん(仮)に、
(そんなん言いながら可愛い子に話しかけると緊張するタイプなんでしょー?ほら私めっちゃ気さくで話しやすいよー。めっちゃにこにこしてていい人そうだよー。ほらおいでおいでー。あなたはだんだん私から御守り買いたくなーる。あなたはだんだん……)
とびきりの笑顔とは裏腹に、心の中で黒魔術を唱え始める私

「お姉さん、縁結びの御守りありますか?」
(うっしゃーー!!)
まんまとわたしに話しかけて来たので、心の中でガッツポーズしました。
「縁結びの御守りはこちらです。ピンクで可愛いですよね(ニコニコ)」
「それ100個買ったら願い叶いますか?」
「100個ですね!6万円お納めください(ニコニコ)」
「やっぱり1個でお願いしますwww」
「ありがとうございます。600円お納めください(ニコニコ)」
こうして変に絡まれる事もなく、無事接客終了。

笑顔、まじ、大事。


2:00
次のシフトの女の子たちが来たので、軽く挨拶してしばらく一緒に売り場に立ち、深夜は巫女さんが減るので売り場を何個か閉めて、退勤の準備。
2:30になったと同時に、控え室で袴を脱ぎ捨てて急いで帰りました。


4:30
就寝。今日はなみちゃんの家にお泊まりさせてもらう事に。3時までには着いていたのですが、順番にお風呂に入ってたら結局こんな時間になってました。語り合う元気もなく、爆睡。

 

1日目を終えての感想。
時間が経つのがあっという間でした。確かに寒い!けど、今年は例年になく暖かかったようで、わたしこれくらいなら全然耐えられる!という感じでした。
因みに仲良しのDくんは「指がかじかんで動かない」と言っていたので、個人差があります。(私ほんとに寒さに強いんです……理由は察しろ……)

「なんちゃって巫女さん」~2日目~

7:00
起床。日頃の習慣で予定より1時間早く目が覚めてしまったけれど、2時間半しか寝ていないのに、いたって元気!(普段からあまり寝ません)
日課のTwitterの平和を守るための巡回をしつつ、みんなが起きるのを待ちつつ、準備。
朝食のお餅でお腹パンパンになりながら、8:40頃家を出て、なみちゃんの車で神社へ。
日付けは変わっていないのに、2日目の出勤という事で、この辺りから日にちの感覚がおかしくなり始めていました。


9:00
さて、二戦目の開始!
仕事の内容は同じなので、少しは慣れてきたかなという感じですが、昨夜とは比べものにならない数の人!人!人!鳥居を遥かに超えて伸びる長蛇の列の最後尾は、肉眼では確認できない程です。
それだけの人数がなだれ込んで来るわけですから、昨日のように2人で協力なんて言ってられません。ここからは個人戦になりました。

ここで現れたのが第三の敵!「大量買いモンスター」だぁ!!(ありがたいお客様です)
「熊手2つと、破魔矢……あっやっぱり鏑矢2本、交通安全のこのお守り10個、赤と紺5個ずつね。あとはこれと、これと、木札の大のこれとこれとこれ」
「木札は開運厄除と社運隆昌と商売繁盛でよろしいですか?(アセアセ)……大きな紙袋にまとめてお入れしましょうか?(アセアセ)……御守り用の小分けの袋をご入り用ですか?(アセアセ)……22200円お納めください(アセアセ)」

一応電卓は置いてあるのですが、結局は暗算のほうが早い、とそれまでほとんど頭の中で計算していたわたしも、これはさすがに無理!電卓を使用してお金の間違いをしないように慎重に計算しました。
こんなお客様が1人ではなく何人もおられるので、本当に神経使いました。こんなに頭使ったの何年ぶりだろう。


そのうちになぜか他のベテラン巫女さん達から、
「交通安全の御守りが残り少ないんですけど、ストックどこにあるか分かりますか?」
「あちらにありますよ!取ってきますね!」
「家内安全以外の木札の小さいサイズがもうほとんどこちらになくて……」
「よしきた!」
なぜか品物の補充で頼られるようになり、いつの間にかバックヤードのなつめとの異名をとるほどに。(誰も呼んでません)
接客や品物の補充に忙しく動き回りました。


12:30
気が付くと背後にKくんが立っていました。
今日はお祓いの依頼がえげつないくらい来ているみたいで、なみちゃんとKくんはずっと社殿の方から動けず、顔を見るのは半日ぶり。顔を見た瞬間、すごい安心感を覚えました。おおげさだけど、ほんとに。

「お昼休憩2人ずつとってもらう事になってるんだけど、この感じじゃ2人一度に抜けるのは厳しいかな?」とKくん。
気が付くと、お昼をまわっていました。
「うーん。ちょっと厳しいかもしれませんね」
その間もお客様の列は途切れることがありません。接客してると、その日のパートナーだったDくんがいつの間にか姿を消していました。どうやら一人ずつ順番に食事休憩に行くことになったようです。
なっちゃんも、Dくんが帰ってきたら休憩行ってね」そう言ってKくんは風のように去って行きました。
一時の癒しをありがとう!Kくん!

寝不足と忙しさとで若干変なテンションになりつつも、Dくんの帰りを待ちます。確か休憩は15分ほどのはず。
しかし待てど暮らせどDくんは帰ってきません。
そこにKくんが再び登場。
「Dくんにはそのまま社務所の方の売り場にまわってもらったから、なっちゃんもご飯食べて休憩したらそっち行って」
そして、お客さんの列が途切れなくてモタモタしているわたしに、
「いまだ!行って」
Kくんに背中をポンッとたたかれたのをきっかけにようやく抜け出せたわたしは、お昼休憩に向かいました。

 

13:00
お昼ご飯は社殿のすぐ横の神饌所(神様への供物を納める場所)でいただきます。
物であふれかえったその場所には、「早い者勝ちだよみんなでつついてね方式」のおせちと、神社の売店で作られた大量のおにぎり。
ポツンと置かれたパイプ椅子に座り、
「Dくん、休憩から帰ってこないからサボって昼寝してるのかと疑ってごめんよ……」
とつぶやきながら梅おにぎりを頬張っていると、あっという間に休憩時間は終了しました。次は初めての社務所でのお仕事です!


13:15
寒い廊下を抜けて、社務所に到着。
朝から社務所にいた女の子と交代し、わけもわからずDくんの隣に座る。
「あの、わたし申し送り何もされてなくて全然分からんのじゃけど」
「申し送りとか俺もされとらんよ。向こうとおんなじようにやれば大丈夫!大丈夫!」
そんなものかなと思っている間にも、お客さんが来られます。

御朱印帳に記入お願いできますか」
「お札のセットのやつお願いします」
「領収書をお願いします」
全然一緒じゃないーーーーー!!!

禰宜さんや事務員さんっぽい女性に聞きながら、なんとか対応しました。こんな急に投げ込まれるもんなんですね。


15:00
社殿の方ほどではないものの程々の量のお客様をさばきながら、休みなく応対するわたしたち。
そこへ「ちょっとごめんよ~」
お客様の列をかき分け歩み寄る人影が、と思ったら神主のSさんでした。
「お~い。がんばっとるか!これ差し入れ」
甘酒を二つ差し出すSさん。

私語禁止って言った本人ーーーー!!(笑)
心の中で突っ込んだものの、もう若干慣れてきていたのでお礼を言って受け取る私たち。
十分後に、
「喉めっちゃ乾いてたから助かったね」
と言いながら飲みほした甘酒の濃厚さに、口腔内の水分を全部持って行かれ、朦朧とした意識の中でオアシスの幻影を見るようになることを、この時はまだ知らない……。


17:00
社殿の方の売り場はまだまだ忙しそうだけれど、この頃になるとこちらにはほとんどお客様が来なくなりました。
「暇だね。う~暇なの苦手。動いてる方がいいわ」
「そう?俺は正座してぼーっとしとくんとか天職だわ。……ちょっと!左右に揺れすぎ!(笑)」
足が痺れないように体重移動をリズミカルに繰り返していたら怒られました(笑)でもじっとしてられないくらい、ここからの暇すぎる一時間半が本当に長かった!


そんな暇人なわたしの気持ちを察してか、「ちょっとかくまって」と、社殿で祝詞を呼んでいたはずのMさんが登場。お祓いの方が一段落してこちらに避難してきたようなのですが、なぜかカーテンにくるまりながら外の様子をうかがっています。怪しい(笑)
「もう途中から頭がぼーっとしてきて何言ってるんかわけわからんくなってきて」
と言うMさんの顔はなんだか真っ赤。

あとで聞いた話ですが、お祓いをする時には身を清めるためにお神酒を飲むらしく、合間合間でも祓った悪いものが憑かないように、
「ちょっと今のきつかったわあ」
「一杯清めとく?」
みたいなノリで、人によっては結構な量のお神酒を飲むらしいのです。
ただの酒好き?ではない、はず。たぶん、うん。(この神社だけかも?!)

神職の人ってもっとしきたりとかにうるさい、お堅い感じの人かと思ってたら、ほとんどの人がすごく気さくで、Mさんも宮司服さえ着てなければ、ただの陽気な兄ちゃんという感じ。
なぜかお札の数え方を教えていただきました(笑)


18:30
30分の延長をお願いされ、やっと業務終了!
気になるお給料は社務所にて禰宜さんから手渡しでいただきます。
手続きはいたって簡単。手書きの領収書に名前と生年月日、住所を記入し、印鑑 を押し(ない人は母印でも可)手書きの明細と封筒を受け取ります。
わたしはこの2日間、実質1日でトータル14時間労働で,1万4000円頂きました!
手渡しのお給料、自分の働き実感できてすごく嬉しい。喜びをかみしめます。
着替えてから最後に御守りを買って、おみくじを引き、なつめの初バイトは終了したのでした。

巫女さんバイトを終えて。

例年よりも忙しかったから大丈夫かなと心配したけど、楽しんでくれたみたいでホッとしました。いつもは年明けのカウントダウンを少人数でするんだけど、なっちゃんやDくんも一緒に乾杯できたのがお祭り感あって楽しかったな。なっちゃんは接客業やこういうバイトは初めてだと聞いていたけど、ちゃんと接客できていて、さすがだなと思いました!

接した方たちが予想外に人間味にあふれていて、神社とそこで働く方たちがすごく身近に感じられるようになる体験でした。私は大きいくくりでは今の仕事しかした事がないので、どんな仕事が自分に向いているかよく分からないけど、単純にお客さんと接するのが楽しかった。わたしって接客向いてるかも!という自分の意外な一面も発見できました。機会があればまた挑戦してみたいです。人が好きな人にはお勧めのバイト!うまくまとめられず日記みたいになってしまいましたが、知らない世界を楽しんで頂けてたら嬉しいです。最後まで読んでくださってありがとうございました。

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バイト終了後、盛大に着崩れた面々で記念撮影。(一旦脱いだ着物を撮影のために慌てて着直した模様)

巫女さんの袴姿かわいい!巫女さんバイト、私も一回やってみたいと女子高生くらいのとき思ってたなぁ〜。
寒くてきつい、という噂は聞いていたけど、こうやって実際の動きを見ると大変そう…。でもなつめさんが楽しそうに仕事していて、読んでてほっこりしました。

次回予告
2月1日(水)はトフィーの小ネタ更新です。

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