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健康法、サプリを勧める時の「ちょっと待った!!」

なつめです。巷には様々な健康法、ダイエット法が溢れていますね。良かったものは他の人にも勧めたいと思うのが人の心理。でもそれ、ホントに勧めちゃって大丈夫?

最近、話題になっている「塩水洗浄ダイエット」って耳にしたことがありますか?

塩水洗浄ダイエットとは……
朝の空腹時に、天然塩10gを溶かした蒸留水1ℓを20分以内に飲みきるという健康法。
All Aboutが記事を掲載し、「消化器官を安全に洗浄し、便秘解消やデトックス効果があり、ダイエット出来る」と広く拡散され話題となった。

この健康法が今、「医学的な根拠は全くないデマ」「むしろ健康を害する恐れがあり非常に危険」と問題になっているのです。

因みに厚生労働省の出す「食事摂取基準」によると、1日あたりの塩分摂取量の目標値は男性8g、女性7gとの事。これを超えて塩分を摂取し続けると、高血圧などの生活習慣病のリスクが高まるというわけです。
こう考えると、朝の数十分で、一日分をはるかに上回る量の塩分を一度に摂取するという、この健康法の危険性が分かりますよね。
医師からの「嘔吐や、内臓出血に繋がり、命に関わることもある」という指摘もあるようです。

では、冷静に考えれば、危険だと分かりそうな健康法、ダイエット法を信じてしまう人がいるのはなぜなのでしょうか?

・強い願いが盲目にさせる
痩せたいとか、健康になりたいという願いが強ければ強いほど、冷静に情報の正確さを見極める力が弱くなり、リスクに関する情報を目にしても、それを軽視してしまう。藁にもすがる気持ちの時は、怪しげな方法にも手を出してしまうという心理。分かるような気がします。

・口コミの力
これは本当に大きいと思います。今でも塩分洗浄について検索してみると、「便秘が解消された!」「体重が2日で3キロ減った!」などと体験者の声がたくさん出てきます。実際は身体に悪いものとり入れて、下痢や嘔吐して体調崩してるのだとしても、実際にやってみた人が「成功した!」と書き込んでいるのを見ると、不安が軽くなり、効果が保証されたような気持ちになり、自分も!という気持ちになります。


健康法に限らずですが、どんな情報にもすぐに飛びつくのではなく、一歩引いて「本当に正しい情報かな?」「リスクはないのかな?」と考えることが大切ですね。

 そして、情報を受け取る側として、だけではなく、発信する側としても注意していかなければなりません。
何も干物女たちのようにブログを書いている人だけの問題ではありません。
「このダイエットですごく痩せたよ!」なんて友達に勧める事は誰にでもありますよね。
「全然効かなかった!むしろ太ったんだけどどうしてくれるの!」で、友情にヒビが入るくらいで済めばまだいいですが、(それも大問題ですよね)時には他人の命を危険に晒してしまう可能性だってあるのです。

 実際に病気を患っている人に対しては特にそう言えます。
なんとか元気になるよう手助けをしてあげたいという善意から、本で読んだ健康法や、自分が飲んでいるサプリメントを勧めたくなるかもしれません。

でも、それ、ちょっと待った!!
わたしの実体験をもとに注意を喚起したいと思います。

親切お節介モンスター角川さんの場合

4年前、母が乳癌と宣告された時の事です。
まだそれほど進んだステージではありませんでしたが、本人や家族にとっては衝撃的な出来事でした。
当時隣県で、1人暮らしをしていたわたしは毎週帰省してフォローするようにしていましたが、その間に現れたのが、角川さん(仮名)でした。

角川さん 50代主婦
糖尿病を患い、運動を全くせず食事療法のみで改善を目指すうちに、健康オタクの素質が開花。ストイックなまでの制限で体重30kg代にまで減量し、ドクターストップがかかっているが、食事制限は継続中。
現在は、大腸がん末期と診断された御主人のために奔走する毎日。
10年ほど前から家族ぐるみの付き合いだが、普段母との直接の交流はなく、すれ違えば挨拶する程度の仲。

 

 ①本人に直接選択を迫る

角川さんの話:
なつめママが乳がんの診断を受けたって聞いて、慌てて会いに行ったの。ほら私、主人がガンと診断されてからあらゆる医学書や病院をあたってきたから、その辺りのことかなり詳しいでしょ?何か力になれると思って。
そしたら、なつめママ人間ドックでガンが見つかった近所の大学病院にそのまま入院する事にしたって言うじゃないの。私思わず言ったわ。
セカンドオピニオンは受けたの?私なんて大阪の名医の所にまで行って話を聞いてきたわよ。妥協しちゃダメ!ちゃんと自分が納得できる先生に出会えるまで何度でも探さなきゃ」
だってそうでしょ?自分の命を預ける人をそんなに簡単に決めるなんて信じられないわ。

セカンドオピニオンを受けて、自ら医療を選択すること。本当に大切だと思います。
でもここで考えてほしいのは、同じポジションのつもりで話している角川さんは、母とは全く違うポジションである事です。
角川さんは「患者の家族」。母は「患者本人」です。
実際母は、ガンという診断を受けて不安や恐怖を感じ、冷静な判断を下せない状態の中、「このままではダメ!」と圧力をかけられたように感じ、かなりの精神的なストレスを感じ、混乱していました。
これは母の性格上の問題もあるのですが、アドバイスするなら同じ立場、「患者の家族」である私にしてほしかったです。
そうすれば、事前に情報を調べ、患者本人が受け入れたり選択肢したりしやすい仕方で伝える事が出来たと思います。

 

 ②高額なサプリメントを勧める

角川さんの話:
なつめママったら病院でもらう薬を飲むだけで、他は何もしてないって言うのよ?だからわたし、自分が昔から続けている健康補助食品を勧めたの。40種類以上の栄養素が入っていて、今注目されてる酵素の力で本当に体調がいいのよ。主人にも飲ませてるんだけど、なんだか調子がいいみたいだから、ガンにも効くんじゃないかしら?私は販売もやっているから特別になつめママにはお試しの会員価格で売ってあげたの。これを飲んで早く元気になってほしいわね。

ある週帰省すると、床の間に大きな段ボールが2つ積み重ねてありました。その中には、さらに大量の箱が入っていて、尋ねると角川さんから購入したとの事。
信じやすい性質の母はこれを飲んでから体調が良いと、わけも分からずわたしにも勧めてきます。

調べてみると「食べる玄米食」という触れ込みで、玄米と胚芽を麹菌で発酵させたもののようです。必要な栄養素を補ったり、便秘を改善したりするのには効果があるかもしれません。「ガンに効く」と言った角川さんの言葉になんの根拠もない事は分かっていましたが、身体に悪いものでは無さそうだし、母がこれで精神的に安定するなら……と思っていました。

しかし問題なのはその値段。1箱90袋入りで5千円のものと、「より効くらしい」という訳の分からない説明の1万円の物がそれぞれ段ボール箱にぎっしり詰まっています。
1日に全部で6~9袋飲むように勧められたらしいので、単純に考えて1ヶ月に1万5千円以上かかるという訳です。
段ボールの中のものを合計すると幾らになるのか考えたくもありませんが、おそらく十数万円のものを、しかも父に無断で購入していました。
内容に見合った値段ではないと感じた事と、角川さんも販売に携わってるいるという点からマルチの可能性を疑いましたが、「角川さんが勧めてくれたから」と盲信している母に、精神的、身体的影響も考えるとどんな風に話をすればいいものかと本当に悩みました。そしてタイミングと言葉を選んで話をしましたが、母がヒステリックになり話し合いは泥沼化しました。
ただでさえ大変な時期に、心労が増し加わった事は間違いありません。

 

 ③極端な治療方針を押しつける

角川さんの話:
お医者さんの言った通りの治療を行う?そんなのダメダメダメ!治療は患者本人が決める時代なの。基本的に西洋医学なんて信じちゃダメなのよ!抗がん剤なんてもってのほか。それで身体がボロボロになって寿命が縮まったケースが何件も報告されているんだから。
ほら、この本を見て。
うちの主人も、もう病院には通わず、薬も飲まず、完全に食餌療法だけでやってるんだけど、とても調子がいいみたい。
え?朝は牛乳と食パン?そんな食事ダメよ!牛乳って実は身体にとても悪いのよ。

この話を聞いた母が影響を受け、手術や治療は受けないと言い出した時は本当に困りました。
本人が確固たる意志を持ってそういった選択をするなら、それも尊重しなくてはならないのかもしれません。でも明らかに角川さんの話に影響されて、それをなぞっているような母の言葉をそのまま受け入れる事は出来ませんでした。

治療に関して、0か100かみたいな極端な考えになっている事も気になったので、治療の一部は受け入れて一部は受け入れない方法もある事や、ホルモン療法など薬剤治療に変わる別の方法がある事など調べました。

説得というよりは、母のグラグラしている意志がきちんと固まるようにというスタンスで臨んだのですが、母があまりにも角川さん角川さんと言うので、悲しいような情けないような気持ちになり遂には泣き出してしまうわたし。
感情的になってしまった事がとても恥ずかしかったのですが、わたしが泣きながら
「お母さんが治療を拒否する事を選ぶならそれも応援しないといけないと思うけど、家族としては、このままガンが進行していくのをただ黙って見ているとしたら、あぁ、あの時無理にでも治療を受けていればと後悔が残ると思う」
と話すと急に冷静になったみたいで、その後黙って考えていました。
常に論理的に冷静に、と心がけていましたが、感情タイプには感情で説得する方が有効なんですね。

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考えてほしいこと

この3つを通して考えてほしいのは、あなたの何気ない一言がどれほど大きな力を持つかという事です。
普段なら、あなたの提案を選択肢の一つとし、自分で冷静に決定でるような人でも、病気を宣告され、身体的・精神的に参っている状態だとこれ程までに動揺し、大きな影響を受けるのです。
そして、その家族もそれに振り回され、更なる心配を感じたり、説得のために労力を費やしたりする事になります。

 結局、母は医師の提案する手術と放射線治療を受け入れる事にしました。
再発の可能性は0ではありませんが、今では私よりも元気です。
角川さんのご主人は1年後に亡くなりました。

とはいえわたしは、治療法の正解を問いたい訳ではありません。
角川さんのご主人が治療していたらもっと良い結果になっていたかどうかも分かりません。
母と角川さんのご主人とでは、病気が発生した部位も、病気の進行具合も違うのです。
だからこそ、アドバイスする前に立ち止まってこういう視点を持ってほしいのです。

 ・この健康法、サプリメントはわたしの場合は有効だったけど、あの人にとっても有効かは分からない。
・この健康法、サプリメントは今の段階では有効に見えるけど、本当に有効かはもう少し長い目で見ないと分からない。

そう考えると、特定の治療法や健康法の良さを語るにしても、強制したり、これが正解という勧め方にはならないと思います。

健康法、サプリメントを勧める時のちょっと待った!!
あなたはその結果を、代わりに背負えますか?

 

悪意はないのだろうけど、罪深い…。「自分にとってうまくいった方法が、相手にもうまくいく方法とは限らない」ということを忘れてはいけませんね。特に人にアドバイスをするような場面だと、「善意」や「役に立てた満足感」に目がくらんでしまい、自分の発言がどのような作用をもたらすのか、忘れてしまいがちかもしれません。アドバイスをしたくなったときは、一瞬自分を批判的に見る、くらいの方がいいのかも。

次回予告
2月22日(水)は、トフィー作成の、ストレングスファインダーの資質分類可視化ツールを配布します♪

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