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上司からラブレターが毎日届いて心療内科に通った女のはなし。~干物女のこじらせ遍歴~

なつめです。一見、こじらせ女子に見えないと言われるわたしですが、今までの体験から自分のこじらせっぷりを見つめてみました。うん……結構……ひどいかも(笑)

なるほど、と思った言葉があります。
こじらせ女子は好きになった人と付き合おうとするが、キラキラ女子は付き合ってから好きになろうとする。

この法則からすると、間違いなくわたしはこじらせ女子でしょう。
(※色々言いたい事はあるかもしれませんが、語感がいいので女子という表現で統一させてください)
今回は新たなこじらせ女子を生み出さないために自分の体験を切り売りしていこうと思います。参考になるかは分かりませんが……。

まずは、自分が「うわぁ、わたしこじらせてるな……」と思った事例から。

アプローチされた時の反応

case1

別の部署で働く四ツ谷さんから、好意を示され、食事に誘われた時のことです。
この場合、食事くらいならと誘いにのる人も居るでしょうし、当たり障りのない理由で断る人もいるでしょう。

しかし、わたしの反応はこうでした。

「もし、四ツ谷さんが私のことをそういう……恋愛対象として誘ってるんだとしたら、わたしほんとにそんなつもりないんで!!他の人をあたってください!!」

直球ーーーー!!
もうほんとにね、自意識過剰で恥ずかしいので書きたくないんですけど、ほんとこんな感じでね、言っちゃったんですよね……。

普通の友達としてなら喜んでご飯行ったと思うんですけど、四ツ谷さんはスタートが悪かった。最初っから恋愛する気満々の彼と、上司の圧力で連絡先を交換させられたので、既になつめの警戒レベルはマックスでした。

そのうちに四ツ谷さんは社内恋愛の末に、去年、年下のしっかり者の奥さんと結婚。秋には可愛いベビーも誕生予定です。

 

case2

3年ほど一緒に勤めた渡辺さんが仕事を辞めて他県へ引越しすることに。そして、渡辺さんが最後の勤務を終えた夜にLINEが来ました。

「なつめさんの事好きだったんだけど。俺のことどう思ってる?」
告白っぽい言葉きたーーー!!!
それに対する私の返答は、と言うと、
「渡辺さんの事いい人だと思ってます!全然好きじゃないけど!全然!」
オブラートーーー!!

渡辺さんは他県にそのまま引っ越して行き、現在は、キャバクラに給料を注ぎ込んで楽しくやっていると風の噂で聞きました。

 

「こじらせ女は、恋愛が始まる前から、鉄壁のディフェンスで恋愛の芽を摘み取る」

こじらせ反応をするようになったのはなぜか

自分で言うのもなんですが、わたしは元々、よく言えば人懐っこくて無邪気な(悪く言えばなにも考えていない)性格です。今でも人は好きだし、フットワークも軽いほうだと思います。
それが「恋愛の空気」を醸し出された途端、極端なこじらせ反応をしてしまうのはなぜなのか?考えるうちに過去の経験にたどり着きました。

case 3
寺山さん 30代半ば男性
関係:直属の上司
趣味:読書、スポーツ

寺山さんは一回り以上歳上で、見た目も老けている(失礼)ので、一緒に歩いていると親子に間違えられる事もありました。なので、当時若かったわたしの中では「おじさん」の認識があったと思います。
頭が良くて頼りになるし、誠実な人だと思っていて、尊敬していました。

関係性が変わってしまったのは出会って1年後くらいでしょうか。それは、なんの前触れもなく訪れました。
自宅に鳴り響く電話。見ると、寺山さんからの着信でした。
「ポストに手紙を入れたので、見てください」
なんで電話で言わずにわざわざ手紙?そんな言いにくい悪い事が書いてあるの?と怖くなったものの、全く心当たりがありませんでした。
恐る恐る封筒を開けると、そこには便箋5枚にわたり、わたしの良いところが羅列してあって、告白というよりプロポーズかな、という内容の手紙が入っていました。
そして
「貴女の事がもっと知りたい」
と書かれていました。

上司が自宅のポストに長文の手紙を入れていき、この内容だったら、十分に怖いと思いますが、当時のわたしは恐怖はあまり感じませんでした。ただただ、驚きと戸惑いでいっぱいでした。
寺山さんのような出来る上司から見て、学生に毛が生えたような小娘が恋愛対象になるとは全く思っていなかったので、気を許していた部分があったと思います。寺山さんはその態度をわたしの好意と勘違いしたのかもしれない。今後は気を付けよう、そう反省しました。

こうして、こじらせ女が誕生……と、このくらいの事ではそうはならないのです。
相変わらずわたしは人懐っこくて無邪気な小娘のままでした。
これはこじらせ女、そして干物女誕生の序章に過ぎなかったのです。


素直に気持ちを話し、ごめんなさいをしたわたし。
今後どんな風に接すれば良いか尋ねると、「辛いからしばらくは最低限の事以外では関わらないようにしてほしい」と言われ、挨拶しかしない日々。
しかし、数週間後、「もう大丈夫だから、今まで通り接してほしい」と言われました。

よそよそしい空気に耐えられなかったわたしは、素直に喜びました。
「寺山さんとまた元の尊敬できる上司と部下という関係に戻れる!」
でも、そんなに簡単ではないんですね。
その頃のわたしはまだ何も分かっていませんでした。

わたしが普通に接しようとしても、寺山さんの挙動不審ぶりがすごい!目は落ち着きなく動き回り、言葉がつかえて出て来ず、笑顔は引き攣っている。
あぁ、もう元には戻れないんだなと、わたしはようやく理解したのでした。

 

その後、挙動不審な寺山さんの様子を見るのが辛くなり、ある程度の距離を置き、上手く付き合っていたのですが、半年程経過した頃からわたしの気持ちに変化が生じ始めます。

なんだか最近、寺山さんが怖い……。

理由は?と言われてもうまく説明出来ないんです。
でもこの頃から、遠くにいて他の人と話していても寺山さんの意識がこちらに向いているなとか、話しかけようと入口で待ち構えているな、とか感じるようになりました。その何とも落ちつかない感じがわたしから見るととても怖かった。

この頃から「仕事のこと」で頻繁に電話がかかって来るようになりました。でもどこか違和感を覚えることが多い。
例えば、「今度のプレゼンで引用したいから、なつめさんの経験談を簡単にまとめて提出してほしい」と言われ、クソ真面目にそのとおりにするも、プレゼン聞くと明らかにわたしの経験談なんて必要な内容じゃない。わたしに聞いた手前無理矢理一文組み込んだだけという感じで、わたしのレポート用紙一枚分の努力は一体何だったのか……というような事が良くありました。

もしかして寺山さん、まだわたしの事好きで、アプローチしようとしてきてる……?

ふと頭に浮かんだ考えを、いやいや、自意識過剰でしょ、と自分で打ち消していきます。
寺山さんは、半年経ってきっと吹っ切れて、もうわたしの事なんて何とも思ってないんだろう。
だから、ギクシャクしてしまったわたしとの関係を修復しようと頑張っているんだ。きっとそうだ。
わたしも以前のような関係に戻れるように、協力しないと。

でも……怖い……。

寺山さんが相手の話を聞かずに、わたしと同僚の会話に耳を傾けている時の忙しなく動く指が怖い。寺山さんがわたしを見ている時の笑っていない爬虫類みたいな目が怖い。寺山さんがさり気なさを装って斜めに歩いてくる時の靴の音が怖い。


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理由は分からないけど、とにかく恐怖感が拭えなくて、いやいや自意識過剰でしょ!そんな風に思っちゃだめだ!葛藤する毎日。

相手の好意を人に話すような事は元々しないけれど、今回は上司としての寺山さんへの信頼や職場内の人間関係にも影響するので尚更、と思って誰にも話していませんでした。しかし、それがじわじわと自分の首を絞めることになるとは。
なにも知らない同僚たちが、寺山さんとわたしを遊びや飲み会に誘ってくる。寺山さんとペアでの仕事をさせようとする。寺山さんと一緒って事がすごく苦痛で断りたいけど、みんなには理由を言えない。
寺山さんはもうわたしの事何とも思ってないはずなのに、何でわたしはこんなにも寺山さんを拒絶してしまうんだろう。
仕事なのに、こんな事じゃいけない。

そんな悶々とする日々が数ヶ月続き、ストレスで徐々に身体と心が変調を来すようになりました。
激しい頭痛。不眠。ひどい便秘。体力が著しく低下して階段が登れなくなる。突然理由もなく涙が出て、止まらなくなる。無気力。

そして、だんだんと限界が近づいてきた時に、ようやく事態が動きました。

 

家に帰ると、珍しくドアのポストに郵便物が入っていました。
階下のポストではなく、誰かがわざわざ三階まで上がってきたことに少し胸がざわつきます。
なかなか開かないポストを力まかせに開けると、勢い余って水色の封筒が飛び出し、玄関に落ちました。それは見覚えのある封筒でした。震える指で封筒を拾い、差出人を確認したあと、わたしは封をあけました。

その手紙はこんな言葉で始まっていました。
「貴女に振られてからのこの一年、わたしは不幸でした。でも気づいたんです。貴重なものを得るためには、諦めずに粘り強くそれ相応の努力をしなければならない事に」
その後、よく分からない古文や、聖書の言葉が引用され、寺山さんのわたしへの思いが書き連ねてありました。

その時わたしの中に湧いてきたのは、寺山さんに対する恐怖の気持ちと、嫌悪感に似た気持ち。
そして、ほんの少しの安堵感が追いかけてきました。

こんな手紙もらっているのにおかしいと思いますよね。
でもそれまでの、寺山さんはもう私の事何とも思っていないのに、勝手に恐怖感を感じている自意識過剰な自分。抗議もできない不安定な状況。それがわたしにとっては何よりも苦しかったんです。

この手紙によって、わたしのただの思い込みではなく、寺山さんはわたしに好意を抱いていた、仕事を口実に上司という立場を利用して近づこうとしていた、という「正式に抗議してよい状況」が確定した時に、今までの不安定な状況から抜け出せて、少しホッとしました。

その日から、毎日ポストに寺山さんからの手紙が投函されるようになりました。
限界を感じたわたしは、寺山さんに宣言した上でその事を上司に相談し、その後仕事を辞めて実家に帰りました。

なぜこんな事になってしまったんだろう?

勘違いした寺山が悪い!……とはなりませんでした。
寺山さんは怖かったけど、悪い人ではありませんでした。お互いの気持ちが噛み合うか噛み合わないかだけで、この話は「素敵なラブストーリー」にもなれば「ストーカー被害」にもなりうる。わたしはわたしから見れば被害者でしたが、寺山さん自身も被害者だったんです。

そしてわたしは、
「わたしが勘違いさせてしまったせいで、それまでの良い関係が壊れ、二人とも多大な心痛と損失を被った」
今回の件を、自分の中でそうインプットしてしまいました。

 

そして現在。
わたしは、相変わらず人懐っこくて、年甲斐もなく無邪気な大人になりました。人が好きで、みんなとワイワイするのが大好きです。
ですが「恋愛的空気」を感じると、急に鉄壁のこじらせ女に変身して、
「ノーモア・テラヤマ!ノーモア・テラヤマ!」
と心の中で大規模なデモ活動が繰り広げられてしまう。
そして冒頭で述べたような、自意識過剰で失礼な態度をとってしまうのです。

case1で、わたしが「そういう、恋愛対象として誘ってるんならムリなんで、ご飯行きません」というような極端な反応をした時の四ツ谷さんの返事はこうでした。
「せっかく出会ったんだから仲良くならないと勿体なくない?恋愛対象になるか、仲の良い友達になるかはまだ分からないけど、それは仲良くなった先にあるものじゃん」
ごもっともです。
こういう風に考えられたら、思いもよらない出逢いがあったり、人生が豊かになっていくんだろうなって思います。

でもどうしても、
「勘違いさせてしまうのが怖い」
と思ってしまう自分がいるんですよね。

おまけ(後日談)

先日、久々に以前の職場の人たちと再会しました。
「寺山さんも後ろに座ってるよ」
目を移すと、明らかにこちらを意識しているけど、「気付いてませんよ」という風を装って不自然におにぎりを頬張っている寺山さんの姿が視界に入りました。
挙動不審ぶりは相変わらずでしたが、隣にはかわいい奥さんが座っていました。ショートカットで細身で控えめな感じのその女性は、わたしとはまるっきり違うタイプでした。

ああ、寺山さん結婚したんだなあ。
立場的にわたしがこんなこと言うのもおかしいと思いますが、少し安心しました。

正直、会うまでは不安でした。
あれから数年経ったけど、顔を見るとまたあの頃の恐怖が蘇るんじゃないかという不安で、今までは会う機会をことごとく避けていました。
でも寺山さんを見かけた時、わたしの中に「怖い」という感情はもう上ってきませんでした。

結局ひと言も言葉を交わすことはありませんでしたが、
うん、わたしもう大丈夫だわ、と思えたので、会ってよかったと思います。
ようやく、本当にようやく、一区切りつけたような気がします。

 

ただの自分語りに終止してしまいましたが、この経験がもし何かしらの役に立つのなら(多分立たない)、それを活かして皆さんには良い恋愛を積み重ねて素直なキラキラ女子に育ってほしいと願います。
みんな!わたしの屍を越えてゆけ!

 

この記事に共感しかできないのは、私もまた干物女だからでしょうか…。私も、気の無い相手に好意を持ってもらったことをきっかけに、人から好意を持たれる(持たせる)行為に忌避感を覚えるようになりました。私がなつめさんと同じ状況なら、同じように思い悩んでいたと思うし、そしてもっと堪忍袋の尾が切れるのは早かったと思います(笑) 当時本当に大変だっただろうなぁ。なつめさんに素敵な出会いがありますように!

次回予告
3月8日(水)はトフィーの小ネタ更新です!

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